筝(こと)を弾こう

箏 イラスト に対する画像結果

先生「日本の楽器です。名前を知っている楽器、ある?」


児童 ポスターのところに来て、指さす。「三味線。」


先生「はい、三味線ですね。」クエスチョンマークが書いてある紙をはがす。


  『三味線』と書いてある。


児童 指さして「こと。」


先生「ことだね。『そう』とも言います。


児童 指さして「太鼓。」


先生「そう、太鼓だね。

   詳しく言うと『締め太鼓』。

   二学期に歌の伴奏に使ったね。


   もう一つの太鼓は、『大太鼓』または、『宮太鼓』と言います。」


児童 指さして「横笛。」


先生「そう、横笛だね。『篠笛』とも言います。

   こうやって、笛を横に構えて吹きます。

 

   あと一つ残ったね。この笛の名前は知らないかな?」


児童「・・・・」


先生 紙をはがして「尺八という名前です。

   みんなが吹いているリコーダーと同じたて笛です。

 

   だけど、穴の数を見て。

 

          裏の穴は一つで同じだけど、表は四つしかない・・・

 


   みんなよく、名前を知っていたね。


   今日は、この中の『筝』『おこと』を弾いてみます。


   『おこと』って言う方がなじみがあると思うけど、

   この形のおこと以外に『おこと』と呼ばれている楽器があるので、正確に言うと『筝』と言います。


   では、筝をもってきます。」


   準備室から筝を出してくる。


児童「わーーー!!」「大きい!!」


先生 裏側を見せる感じで縦に置く。


  「大きい楽器だね~。先生とどっちが背が高い?」


児童「筝!!」


先生「ホントだね~。先生も背が高いのにもっと高いね。180㎝くらいあるかな・・・
   裏側に、穴があるの見えますか?」


児童「二個ある。」


先生「二個、こことここにある。

   ここから、筝の音がこの箱の中で響いて、出てくるんだね。」


   裏側を向けたまま、弦をはじく。


児童「おおう・・」


先生「いい音だね~❤ 


   今、糸をはじいて音を出しました。

 

   糸の数は何本か知ってる?」


児童「5本。」「6本。」「10本。」「分からない・・・」


先生「みんなで数えてみよう。」

 

   筝の弦が張ってある方を児童に向ける。


  「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10・・」


児童「えーっ、まだあるのぉ!」


先生「11、12、13。13本ある。


   ヴァイオリンやチェロは、4本。

   ギターは6本。

   筝は、13本。多いね。


   共鳴胴と呼ばれるこの箱も大きいし、糸の数も多いね。


   この糸を爪をつけて弾きます。」


   筝を低い机または椅子にのせる。

 

先生「筝の爪を、爪のない方に付けます。」

先生「本当は、親指、人差し指、中指の3本に爪をつけますが、

   今日は、親指だけ、1本だけに爪をつけます。筝の爪はーーっ?」


児童「爪のない方につける!!」


先生「その通り。では、弾いてみます。聞いてね。」


  『さくらさくら』を弾く。


児童 耳をすまして聞く。拍手!


先生「拍手ありがとう。みんなもこの曲が弾けるようになります。


   今日は、初めてなので、『しゃらららん』を全員弾きます。」


   親指でグリッサンドする。


筝「しゃらららん♪」巾の糸から一の糸まで、グリッサンドする。


児童「わー、キレイ☆」


先生 筝の側面を見せる。


  「筝の箱の上は、まっすぐじゃない。分かる?真中が山になっている。見える?
   自分の体に一番近い糸から、ぐーっと上って、一番遠い糸まで、下りてくる。
   もう一回、やるよー。」見本をみせる。

 

先生「筝の爪はーーっ?」


児童「爪のない方につける!!」


先生「手前からーーっ?」


児童「上って、下りる!!」


先生「爪のサイズは8から15まであります。

   8が小さい、15が大きい。

 

   小さめの爪は、この缶、大きめはこの缶に入っています。

   弾いたときに抜けないように、親指にしっかりはまるものを選んではめてください。

 

   では、4列目から。爪を選んでつけた人からここに来てください。」

児童 爪をつけ、グリッサンドを二回ずつ弾き、席に戻る。


先生 様子を見て、次々児童を前に呼ぶ。


児童 全員、筝を弾く。


 調弦は、「さくらさくら」を弾く時のまま使う。

 筝の指導をするとき、児童が迷うことの№1が、爪のつけ方です。


教師が、こうつけるよと、さらっと言っただけでは、三分の一近くの児童が、

爪のある方に筝の爪をつけます。トホホ・・・


 今回は、言葉で三回言い、絵でも示しました。でも、やっぱり、一人、爪の方につけていました。

最初なので仕方ないですね。

 
 
 また、筝の指導をするとき、児童がなかなか身につかないこと№1は、糸をはじくのではなく、

次の糸で止めることです。


 弦があると、どうしてもはじきたくなります。次の糸で止める感覚は、それまでの経験ではないことです。

 

でも、この次の糸で止めることは、筝を弾く上でとても大切です。これができるようになると、指の力を効率

 

よく糸に伝えることができます。

 

 今回は、筝のグリッサンドから始めました。

 

 グリッサンドは、糸をはじくのではなく、次々に糸を鳴らしていくので、『次の糸で止める』感覚を

 

身に付けるには、いい方法だと思います。

 

それは、自分の親指で、『向こう側に押していく』感覚です。
 

 今日は最初なので、グリッサンドは一気に巾から一の糸に向かいましたが、途中で止めて、

 

またそこから続けることもやってみると、この感覚が磨かれるかもしれません。

桜 イラスト に対する画像結果


たこたこあがれ イラスト に対する画像結果

先生「この前、筝を紹介して、みんなで筝を弾きましたね。今日は、曲に挑戦してみよう。」


児童「やったー!」


先生「今日弾く曲は、『たこたこあがれ』の最初。
   うたってみよう。」

児童「♪たこたこあがれ」


先生「どこで音が下がるか意識して。もう一回。」


児童「♪たこたこあがれ」


先生「♪たこたこあがれ」全部同じ高さで歌う。


児童 苦笑・・・


先生「どこで音を下げる?」


児童「『こ』のところで。」


先生「そうだね。♪たこたこあがれ」『こ』で音程を下げて正しく歌う。


  「糸が13本あります。真中は何番?」


児童「6?」「7?」


先生 筝の糸を見せながら、真中を確認する。

 

  「端から、1,2,3,4,5,6、7だ!!」


  「この糸から曲はスタートします。

 

  『こ』は、6の糸。今日使うのは、この7と6の二本の糸です。」

 

  弾いてみせる。


  「7676777♪歌ってみよう。」


児童「♪7676777」教師の筝の演奏に合わせながら歌う。
   
先生「今日は3面、筝を出します。筝は、1面、2面って数えます。


   先生のところで一回弾いたら、後ろの筝で自分で二回練習して席に戻ります。」


   教室の後ろに二面、前に一面筝を準備する。

 

   椅子二脚に筝を渡して置き、座って演奏するための椅子ももう一脚置く。

 

   爪のサイズを大小二つに分けて、缶に入れ置いておく。

 

   近くに濡らしたタオルを置き、爪をつけるときに、指を軽くぬらす。(爪が抜けにくくなります。)

 

   「先生のところで弾く、自分で二回弾く、席で友達の演奏を聞くの流れです。」

 

   板書する。


  「筝の爪はーーっ?」


児童「爪のない方につける!」

先生「オッケイ!今日は、3列目からどうぞ。」

 

  『弾いたら次の糸(弦)で止める』ことをひとりひとり指導する。
 
  7の糸には、あらかじめ赤の油性マジックで軽く印をつけておく。

 

  「たこたこあがれ」の調弦は、下記。


 「たこたこあがれ」の短い旋律ができるようになったら、伴奏をつける。

 

使う糸は、1と2。


旋律は6,7を使い、伴奏は1,2を演奏する。二人並んで演奏する。

 筝の演奏に慣れたら、「さくらさくら」に挑戦!!

 

 「さくらさくら」の調弦は、下記。

 最初は、グリッサンドと「さくらーさくらー」の「778-778-」だけ練習して、

 

『次の糸(弦)で止める1』感覚を意識させます。

 

 爪のつけ方、弾き方の基本が身に着いたら、曲の糸番号を覚えて弾きます。

 

高学年は、自分でどんどん音を追って、演奏していくことができます。

 

 中学年は、もう少し丁寧に区切って指導します。

 本校は、筝の数に恵まれているので、筝一面に2,3人の割り当てです。

 全員が最後まで「さくらさくら」を弾けるようになる間に、以下の「こと上手の道①②③」を指導します。

 

 児童は筝の演奏が好きです。

 

 音色が心地いいのか、糸番号を追えば曲ができあがっていくからいいのか、

 

今までにない経験を楽しんでいるのか、まだ、好きな理由を分析していません。

 

 とくに、男子が筝の演奏に夢中になることが多いです。

 

聞いていると、指の力があるからなのか、男子の弾く筝の音は、糸がしっかり震え、

 

その震えが共鳴胴を通って、よく響きます。
 
 今回は、時間的な制限と場所の制限があり、筝を椅子の上に置いて、椅子に座って演奏しました。


数年前は、半畳の畳がたくさんあったので、それを敷いて、正座をして演奏したこともありました。