おぼろ月夜


先生「『情景』って言葉、知ってる?」(黒板に書く。)
児童「知らない。」「使ったことがない。」「漢字は知ってる。」


先生「『情』は・・・」


児童「感情の『情』。気持ち。」「景色の『景』。」


先生「そうだね。『情景』は、心に何かを感じさせるような景色です。


   たとえば、この写真を見て。(カレンダーの大きな写真を見せる。)
   見た人が「山だ。木だ。葉っぱがないから冬だ。お地蔵さんだ。空は青く天気がいい。」
   と写真の情報を読み取る。ここまでだったら、この写真は『景色』ですね。

 

   もう一人他の人が、「冬の陽だまりは、暖かくて、木や土のほんわかいい香りがする、きっと。
   このお地蔵さんは毎日何を見てきたんだろう。もうすぐ、春が来る感じがする。

   木も土も空もお地蔵さんも、春へのエネルギーをためている。」と思いながら見ると、

   『景色』が『情景』になるね。何となく、違いが分かるかな?
   
   今日は、「おぼろ月夜」を聞こう。


   この曲は、春のかすみが深いときの月を歌っています。心に何かを感じさせる『情景』として書
   かれています。聞いてみよう。」

 

 1・2番通して聞く。

 

 その後、縦書きの詩を音読する。

 難しいことばの意味を確認する。


 とくに、「山のは」は山の端で、「山のは(わ)」と歌わないように。

「においあわし」は現代の臭いではないことを確かめる。

(4年の時に「さくらさくら」で「朝日ににおう」と歌ったことを思い出させる。)


もう一度、曲を聞いて、メロディーを覚える。CDの曲に合わせて歌う。

 

先生「音が少し飛ぶところを練習してみよう。♪みわたすやまのーは」
児童「♪みわたすやまのーは」


先生「♪はるかーーぜそよふく」
児童「♪はるかーーぜそよふく」


先生「♪ゆうづきかかりーて」
児童「♪ゆうづきかかりーて」


先生「高いところに、ちゃんと飛んでいるね。心がぐっと動くとき、音もぐっと動くよ。
   今練習した三つのところで、曲の山になるところは、どこ?」
児童「♪はるかーーぜそよふく」

 

 曲を覚えたら、メロディーを丁寧になぞるように、言葉を大切に歌う。

歌いながら、どんな情景が心に浮かぶか、それぞれの感じたことをつぶやき合う。

 

 

 「おぼろ月夜」は、自分にとって人生の大切な1ページになっています。

長女を出産した日の夜、空を見上げると「おぼろ月」でした。無事に生まれホッとし、「本当にうれしい」としみじみ、じわじわと喜びを胸に見上げた「おぼろ月」は忘れられません。娘の名前を「おぼろ月代(よ)」にしたいくらいです。