児童は、この授業までに何回か「カントリーロード」を歌った。
先生「カントリーロードを歌います。前奏をよく聞いて、出てきてね。」
児童 1番、2番を歌う。
先生「息を吸うところ、この印『V』だったね。楽譜をよく見て。
先生が歌うので、息を吸うところで、Vサインを出して。」
児童 先生の歌を聞きながら、Vサインを出す。
先生「オッケイ! 今、みんなが出してくれたところで息を吸って歌おう。」
児童「カントリロードこの道ー」
先生「あれ?カントリロードの後で、息を吸っちゃった人がいるね。
最初の息の吸い方が足りなかったかな?最初の息の吸い方だけ、やってみよう。1,2、吸って!」
児童 鼻から「スン」
先生「たっぷり吸えたね。
では、『カントリーロードこの道』まで一息で歌ってみよう。」
児童「カントリーロードこの道」
先生「きれいにつながった!その先まで歌おう。
『ずっと』や『続いてる』の言葉が出てくるよ。みんなの歌声も、ずっと続いている感じで、どうぞ。」
児童「カントリーロードこの道ーずっとゆけばーあのまちにー続いてるー気がするーカントリーロード」
先生「今、自分がいるここ。
今まで、自分が生きてきたふるさと。その二つをつなぐ道、カントリーロード。」
上記の掲示物を指す。
先生「今いるところは、自分の夢や希望を実現するために、
一人ぼっちでも、寂しくても、つらくても、頑張らなくてはいけないところなんだね。
なんとかしなくちゃ、どうしたらいいんだろうという張りつめた気持ちが、フッとゆるむと、
今までいた、あたたかい場所のことが浮かんでくるんだね、きっと。
一番の前半の歌詞を読んでみよう。」
児童「独りぼっち、恐れずに、生きようと夢見てた さみしさ押し込めて、強い自分を守っていこう」
読む。
先生「こんな気持ち、分かるかな?」
児童「う~ん、何となく分かる。」「この気持ちの感じ、どこかで感じたことがある、本の中かな・・・」
先生「想像してみよう、自分が今いるところを離れて一人でいる、独りぼっちでいる自分を。
『帰りたいなぁ、あたたかい人がいるところへ。』という気持ちが、フーッと、そう、
飛行機雲みたいな感じでふるさとに向けて飛んでいく・・・ように歌ってみよう。」
掲示物の矢印を上になぞりながら言う。
児童 一番を歌う。
曲の前半は四分音符、八分音符、十六分音符で動きがあります。
音域は低めです。語るような、話すような感じで歌い、
後半ののびやかなメロディーの付点二分音符はきれいに流れるように歌うと、
すてきな歌になると思います。
曲の中盤の、心の揺れを消す歌詞の部分から、最後フィナーレへ続くところで、
だんだん強く(クレシェンド)していくと、盛り上がります!!
気持ちがのって、子どもたちはいい顔して歌います。
自分の娘が3年間、外国で仕事をして暮らしました。
自分の夢に近づくために、一大決心をして旅立ちました。
行った先で知るのは、闇に吸いこまれそうな孤独、何もできない自分、伝わらない悔しい思い、
この先が見えない不安、心が凍りそうな寂しさでした。ただ、毎日ベッドで泣く日々・・・
泣いて泣いて泣いて、そして、壁にぶち当たって倒れ、転がり、この場所に来ることを決めた
自分を呪う日々・・・
そのとき、心に浮かぶ言葉は、「帰りたい!!!! でも、帰れない!!!!」でした。
この原曲の英語バージョンでは、「そうだ、帰ろう。」となるのですが、日本語バージョンでは、
帰りません。歌う度に、目の奥がウルウルしてしまいます。
作者プロフィール
小学校の音楽を教えてきました。
音楽の喜びあふれる授業を目指し、
日々精進中。
ただいま
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